クチナシと健康

クチナシと健康

クチナシ

最近のお庭にはよく見かけるクチナシですが、香りの代表植物といっても良いでしょう。

春のジンチョウゲ、秋のキンモクセイ、クチナシというのが一般的でしょうか。

また、白い花を咲かせ、葉に特徴があり見た目も可憐です。

そのような「クチナシ」ですが、実は健康にも非常に有効性の高い植物であります。

以下に解説していきます。

 

漢方薬加味逍遥散(不眠や不安などの症状を和らげる漢方薬に「逍遥散」があり、これに生薬の牡丹皮と山梔子を加味したことから作られた漢方薬)

 

適応される主な症状:更年期障害、自律神経失調症、不安 不眠 いらいら、頭痛 頭重 めまい 上半身の熱感 下半身の冷え、月経不順 月経困難 月経痛、肩こり 倦怠感 便秘

 

効能:体力があまりない人で疲れやすく、手足がだるくて、肩こり、頭痛、めまい、イライラがあり、上半身が熱くなる人に用います。

婦人の血の道症、更年期障害、流産、中絶、卵管結紮後の血の道症、虚弱者の便秘、肝臓障害などに用います。

(加味逍遥散以外にも山梔子を生薬として配合されている漢方薬はあります。)

 

黄連解毒湯:(体内の機能が活発になり過ぎているのを抑えるために使用)

 

適応される主な症状:不眠症、不安症 神経症 更年期障害、各種出血 出血予防、高血圧 動機、皮膚疾患 皮膚掻痒症 しみ、のぼせ めまい、二日酔い 二日酔い予防、口内炎、胃炎 胃潰瘍

 

効能:比較的体力があり、のぼせぎみで顔色が赤い、イライラして落ち着かない傾向があるような方に使用されます。また、体内で熱がこもりやすい人には有効です。

(黄連解毒湯以外にも山梔子を生薬として配合されている漢方薬はあります。)

 

その他:山梔子を用いた漢方薬は数多くあります。

有名なものでは上記の他に、加味帰脾湯、五淋散、柴胡清肝湯、防風通聖散その他かなり数多くの漢方薬があります。

 

生薬山梔子(サンシシ)

(漢方薬とは各生薬の配合であると考えてください。それゆえ、生薬である山梔子は単に漢方薬の一部分であり他の生薬も多数配合されております。)

山梔子はアカネ科のクチナシの果実を乾燥させたものです。

漢方的には清熱、除煩、消炎などの効能があり、熱症状、のぼせ、イライラ感、不眠などに用いられます。

また、クチナシは古くから黄色染料として用いられ、現在もきんとんやタクアンなどの食品の着色料としても用いられます。

 

塗布

打撲や捻挫に利用されます。

山梔子を粉末にしてうどん粉、卵白、おろし生姜とよく練り合わせたものや黄柏末(キハダの樹皮でコルク層を除いた皮部を乾燥して粉末にしたもの)と酢でよく練り合わせたものを和紙にのばして、打ち身やくじいた幹部に貼り、乾いたら取り替えます。

消炎効果があり痛みが和らぎます。

青あざのようになりますが、これは好転反応であり、その後必ず色は消えます。

少し医療をかじっている方ならば、ケトプロフェンという成分を含む湿布薬に光線過敏症という副作用があり、それを疑ったりしますが、全く別物です。

 

脳機能改善

クチナシにはクロシンという成分が含まれます。これが記憶障害の改善に期待されるもので「エタノール静脈内投与によるLTP抑制に対する効果」という実験により改善作用が確認されております。簡単に言えば「飲酒による記憶障害を改善する」ということです。

さらに分かりやすく言うならば、記憶や学習の重要な役割を担っている「海馬」というところの血流を良くし、記憶力を向上させるということです。

つまり、「飲酒により記憶障害を改善する」といいましたが、それは実験上のことであり、ボケ防止に一役かってくれているといえます。

しかし、この魅力的なクチナシの商品といえば、かなり限定的です。「クチナシの実」をティーバックにしたり、スパイスにしたり、あることにはあるのですが、いまいち一般的でないのが現実ですよね。そこで代替として登場させたいのが「サフラン」。サフランもクチナシと同じクロシンという成分を含みます。

サフランならば、香辛料として、またサフラン茶として有名ですね。といいますか、このコーナーは「クチナシ」の話題なのでサフランを代替としていますが、本命はサフランなのです。高級茶というイメージありますが、通販ならば1袋30〜40円ぐらいで手に入るようです。

 

眼精疲労・肩こり・視機能改善

クロシンという成分は眼精疲労に効果的な成分として知られています。

クロシンは分子量が小さいため毛様体筋に直接働きかけることでこりをほぐして眼精疲労を軽減する働きがあります。併せて血流を改善する効果があるため眼精疲労だけでなく、肩こりも軽減します。疲れ目からくる肩こりは経験ある方多いですよね。

疲れ目といえば、パソコン、携帯電話、テレビなどですが、クロシンは光によるダメージから目を守り、さらには加齢黄斑変性症などの網膜障害を予防する可能性が示唆されています。

 

いかがでしたでしょうか。クチナシは生薬「山梔子」としてさまざまな漢方薬に用いられていることが最もポイントです。漢方薬は西洋薬と違い、その症状のみを治すということは少なく、体調や体格が合うならば、いろんな効果を期待できる薬です。副作用はないとは言えませんが、かなり少ないことは言えると思います。

お庭のクチナシに対して今一度見方を変えて頂ける良い機会ですね。

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