自然環境と健康を考える

マツの管理

マツ

マツ科は種類も多く、ここではクロマツを主体とした管理をお話しします。
「松」の管理といえば面倒くさいというイメージがありますが、乾燥地にも耐え、やせ地でも大丈夫なので水やりや肥料はそれほど気をつかう必要はありません。
しかし、門冠りにすることも多く、樹形仕立ても様々なため、若木のことから樹形を作る必要があります。そのため、マツ類は年2回の手入れを必要とします。
また、剪定においても年2回の手入れを必要とします。
5月頃に行う「みどり摘み」という新芽を摘む作業と11月から3月にかけて行う「もみ上げ」という作業です。
みどり摘みの時期にもみ上げを行うことも可能ですが、夏場には根からの水分の吸収も多いのでなるべく葉を残し、水分を蒸散させ、水分が循環できるようにしておく方が良いです。
暑い時期に剪定をあまりしてはいけない理由ですが、植物全般に言えることで、やりすぎると枯れる原因にもなります。散髪したら涼しくなったというのは人間の観点ですので要注意です。
みどり摘みをしなかった場合は切り戻しの時期に枝を必要なところまで切り戻すことも可能です。
もう一つ面倒な管理として、病害虫があります。
以下にそれぞれの管理方法をご説明します。

 

植え付け:11月から5月頃まで植えられますが、適宜は3月〜5月頃。
     植え方は土を埋め戻して水を使わないで棒でよく突き固めるのが普通です。
     マツやナンテンにはこの方法(土極め)で植えます。

 

樹形仕立て:仕立ての時期は適期は2〜3月。
      まず作業にかかる前に枝抜きをしましょう。一番下か、下から二段目に一番大きな、その木の命ともいえる
      「差し枝」を決め、差し枝の上か下に、二番目の「返し枝」を決めます。
      枝を中心に左右に同じ太さの枝を残した「閂枝」は嫌われますので避けるよう
      にしましょう。
      その後、一の曲、二の曲を作り、巻くような形で上に誘引します。
      枝は水平より引き下げ、樹冠は4,5年かけて完成させるようにします。

 

剪定:新芽が4月下旬から伸び始め、5月中旬頃にその新芽を指先で摘み取る作業を「みどり摘み」といいます。樹の勢いが良すぎるときは、早めにみどりを元から全部取ると二番みどりが伸びてくるのでこれを育てます。みどりの下の方には葉がつきませんのでそこまで摘んではいけません。このみどり摘みを省略することもありますが、そのときは秋のもみ上げを怠ってはいけません。
    もみ上げは11月〜3月頃に込みすぎた枝や枯れ枝を間引きして形を整えた後、1本1本の枝についている葉をむしり取る作業です。

 

病害虫:病害には葉さび病、すす病、こぶ病などがあります。
    葉さび病は初秋の頃に出ますので、ジネブ剤を月2回くらい散布します。こぶ病
    は枝がこぶ状に膨れるもので大きくなると美観を害し、風で折れやすくなります。
    2月頃にこぶの割れ目から甘いみつを出します。幹部を切り取って焼き捨てます
    が、大事な枝の場合は残してもよいでしょう。
     害虫にはアブラムシ、マツケムシ、マツクイムシなどがあります。
    アブラムシは春先に葉に淡緑色の虫がびっしりとつきます。スミチオン粉剤2
    トレボン乳剤を散布します。マツケムシ(マツカレハ)は5〜6月に発生し葉を食
    害します。スミチオンン乳剤の散布が有効です。マツケムシは体長が7〜8pにな
    り毒毛を密生する暗褐色の大型毛虫で、糞が下に落ち、葉が透けてくるので分かり
    ます。この幼虫は樹上にいて、冬には地上へ下りて越冬する性質がありますので、
    10月〜11月頃に幹の地上1〜1.5mのところにコモを巻き付けておき、ここ
    に潜伏した幼虫を2月頃までに集めて処分します。これをコモ巻きといい、冬にあ
    ちこちでみかけます。マツクイムシが庭木に入ったときはあまり効果的な方法は
    ありませんが、普通の手入れを行っていれば病害虫で枯れるという心配はありま
    せん。

 

繁殖:実生または接ぎ木で増やすのが普通ですが、庭木は樹形を整えるために   
   10年〜20年以上かかってしまいます。

 

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